二階堂製麺所だより
YUI 2022 AUTUMN
ゆい Vol.7
明治村紅葉:登米市
結う人を訪ねて
第七回
今回は登米市で「仙台牛」を繁殖から肥育まで一貫で行っている千葉啓さんを訪ねました。全ての牛が仙台牛になれるわけではありません。その中で仙台牛の4割が登米市産というのはご存じでしょうか。登米の自然や気候、そして畜産農家さんの努力や熱意の中で優れた肉質の仙台牛が育てられています。
右から:JAみやぎ登米 佐藤さん、千葉啓さん、JA全農みやぎ 熱海さん、マルニ食品 千葉
宮城のブランド牛「仙台牛」を守り、育てる
二階堂製麺所のマルニ本社から車で10分。千葉さんの農場があります。繁殖牛と肥育牛あわせて300 頭を家族4人とパートの8名で育てています。今年の4月から会社組織になり、牛舎の増築をはじめ、事業の規模拡大を計画されているとても元気な農家さんです。
「日本の牛肉を世界へ!」。千葉さんの最終目標は世界進出との事。牛を飼育する上で重要なのが血統、飼料、生育環境。一貫経営だからこそ全ての成長過程に責任を持つことができます。良い肉質のための飼料もこだわっています。登米市では畜産農家に「もち米」を飼料に加えることを奨励していて(脂質向上のため)、千葉さんはさらに柔らかさを加えるためにトウモロコシも多めに配合しています。とはいえ、昨今の穀類価格の高騰で餌代にも影響がでていると言います。それでも「お客様の喜ぶ顔が楽しみで頑張れます」と笑顔で答えてくださいました。「動物は愛情をかければかけるほど、
応えてくれる」と優しい顔で話す千葉さん。千葉さんが伸ばした手に顔を寄せる牛たちが印象的でした。
登米市の畜産農家の皆さんの努力もあり仙台牛全体の4割が登米市産。同じ登米市に本社のある私たちとしても誇らしい気持ちです。二階堂製麺所では仙台牛の「特上牛すき手延べうどん(冷凍)」を販売。レストランBUNZAでは仙台牛を使用したメニューをご用意しています。
これからも麺料理を通して仙台牛を多くの人に知ってもらい、喜んでもらえるよう精進していきたいと思いました風通しの良い整備された牛舎でのんびりと過ごす牛たち。
昔から動物が好きだったという千葉さん。
田んぼと林に囲まれた大きな肥育用の牛舎。この他に、繁殖、育成、保育用の牛舎があります。
麺や文左 登米本店 秋のお品書き
薬膳スープうどん
1,800 円税抜き(税込み1,980 円)
(薬膳スープ、手のべうどん、健康茶、デザート) ※二人前から承ります。
12種類の薬膳食材と文左特製つゆをブレンドしたスープに、手のべうどん麦香るを合わせました。食事で身体を労わり、健康と活力を。
薬膳は料理の種類ではなく「食事で健康を作る」という考え方食は生きていくための大切なエネルギー源で、体を作る基です。その基がどんなものであるか?の違いで健康状態などが変わってきます。「薬食同源」という言葉がありますが、これは、「命は食にあり食誤れば病いたり、食正しければ病自ずと癒える」という意味で、薬を飲むことと食べることは同じというものです。
麺や文左では、食材が持つそれぞれの効能を考え、健康によくて、身体に優しい、美味しさも追求したメニューをご用意しております。この秋のおすすめ、全粒粉入り手延べうどん「麦香る」での特別メニューでご提供いたします。
全粒紛とは小麦の表皮、胚芽、胚乳をすべて粉にした小麦粉です。表皮と胚芽からくる「香ばしい風味」と独特の食感が特徴。胚乳だけを用いる通常の小麦粉と比べ栄養価が高く、薄力粉と比較して3倍程度の食物繊維や鉄分を含み、ビタミンB1の含有量も高く、健康志向の食品に多用されています。健康に良い薬膳スープ、栄養価の高い手延べうどんが大変おすすめです。
ご自宅でレストランの味を
冷凍 特上 仙台牛
牛すき手延べうどんとろけるような最高肉質の仙台牛、旨味のしみ込んだ弾力とコシのある極太麺と、BUNZA特製割り下が三位一体となったうどんです。最高級仙台牛のサーロインを主役に仙台雪菜・登米産たまねぎ・青森県産ごぼうを使用しています。
お鍋に入れて火にかけるだけでレストランの味に。温故創新
二階堂製麺所の手延べ製法 第七回
室入れ
「小引き」で延ばされた麺帯は、その後熟成と乾燥を一体的に行い、仕上げに「旗掛け」する際にも更に延ばします。伝統的製法では「小引き」した麺をそのまま「室箱」と呼ばれた木箱内で熟成させます。
二階堂製麺所ではこれを「室入れ」といって、室と呼ばれる湿度を一定に保つ大きな木箱の中で、麺を寝かせて熟成させます。季節により湿度を調整し、特に空気が乾燥する冬には、室の中に水を噴霧して、乾燥を防ぎながら熟成。寝かせる時間や噴霧の量は、職人の経験に頼るところが大きく、6種類にも上る当製麺所の特徴的な手延べ麺を、それぞれに適した熟成度合いで仕上げます。
水を噴霧する手法は比較的新しい製法で、「温故創新」の一つともいえます。温度と湿度が管理された「室」で、静かに熟成される。
室は、人がひとり入れるくらいの幅しかない小さな木の箱です。
イベント報告
仙台七夕まつり参加
今年3年ぶりに仙台七夕まつりが開催されました。日本三大七夕まつりの筆頭に数えられる仙台七夕まつりは江戸時代初期、仙台藩祖の伊達政宗公が婦女に対する文化向上の目的で七夕を奨励したともされ、戦後には焼け野原となった街を52本の竹飾りが人々を元気づけた仙台には欠かせないお祭りのひとつです。通りを飾る七夕飾りからは製作者の力の込めようが感じられる素晴らしさでした。
二階堂製麺所は今年初参加。スタッフ総出で作った七夕飾りを店頭にかかげました。店頭販売も大変好評で、道行く方々にお立ち寄りいただきました。レストランも大盛況で、常連様はもちろん、初めてご利用のお客様も多く、これを機にうどんの美味しさをご実感いただき、またご来店いただければと願っております。当製麺所は、明治18年に初代・文左衛門が始めた街道沿いの小さな麺茶屋が興り。
以来135年以上に亘り、製麺業を中心に食の専門家として、ものづくりの文化を受け継ぎ、さらなる美味しさを追求しています。
【ゆい Vol.7 2022年秋号】
2022年9月発行
発行元:マルニ食品株式会社
宮城県登米市南方町鴻ノ木123番地1
編集:マルニ食品「ゆい」編集室 デザイン:株式会社コミューナ 撮影:佐藤正宏、千葉浩幸、金谷竜真
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